第2回 : 今回の深掘りテーマ「ドレス」
ウエディングに欠かせないフラワーや写真、映像などのアイテムや演出の数々。それぞれの特徴や魅力を理解し、お客さまにいかに提案するかはプランナーの腕次第です。そこで結婚式を彩るさまざまな要素に注目し、その価値を有賀明美さんが深掘り解説! アイテムや演出から結婚式の価値を再認識し、打ち合わせや各パートナーとの連携に役立ててみてください。
「肩肘張らないカジュアルなスタイル」がテーマのガーデンウエディングを予定している新婦。候補のドレスの写真を見せてもらうと、ボリュームたっぷりのゴージャスなドレスで、このままでは新婦だけがミスマッチに…。ドレス選びに口を挟んでいいものでしょうか。(ウエディングプランナー/ゲストハウス・26歳)
選んだドレスを否定するのではなく、ここはやんわりと“アドバイス”するのがベター。「次にドレスショップに行く時には、ウエディングのテーマやガーデンで過ごす時間が多いことなどをスタイリストさんに伝えて、ベストなドレスを提案してもらって」と話してみてはいかがでしょうか。
詳しく教えて!
「ドレスを決める前にアドバイスするなら…」
プランナーがドレス選びの際にアドバイスできることって実はたくさんあります。例えば挙式が祭壇に向かって立つ時間の長いキリスト教式ならバックスタイル、列席者に向かって立つ人前式ならフロント部分にこだわりのあるドレスがおすすめ。披露宴で座っているシーンが多いなら上半身のデザイン重視。テーブルラウンドなど新郎新婦とゲストの距離が近いシーンが多いのであれば素材の上質感も意識したいところ。ゲストの人数が多く、椅子と椅子の間隔が狭くなるようであればボリュームのあるドレスは避けた方がいいなど、挙式や披露宴のスタイルからアドバイスができます。
また、自然光が入る会場ならオフホワイトやレース素材であれば写真映えもしてとてもきれい。逆にシャンデリアや照明に凝った会場であれば光り輝くビジューをあしらったデザインを選ぶと会場の雰囲気にもマッチしてより華やかさが増します。
その他にも会場デコレーションの色やテイスト、進行や演出内容、ゲスト層などドレス選びの参考にする要素はたくさんあります。ウエディング全体を踏まえた上で、「この空間でこんな演出をするウエディングにぴったりのドレスをぜひ見つけてきてください」とアドバイスしてみてください。
さらに、もう一つ。ドレスの下見に行く時には写真だけではなく動画を撮ることもぜひ勧めてください。歩く、お辞儀をする、振り向く、座るといった、当日実際に行なう動作をしながら、挙式や披露宴でどのようにゲストの注目を集めるのかもシミュレーションできますよ。
「ドレスが決まった後にできることは…」
ドレスが決まったと報告を受けたら、プランナーがやるべきことは各セクション、各スタッフへの情報共有です。フラワーコーディネーターには新婦の身長やドレスのボリュームに合わせてブーケのバランスを考慮してもらう。美容や着付け、アテンドスタッフにはドレスの雰囲気に合うヘアスタイルやフィッティングなどにかかる時間を提案してもらう。フォトグラファーにはドレスが映える撮影場所やポージングを考えてもらう。パティシエにはドレスの色やモチーフを踏まえた上でウエディングケーキをデザインしてもらう。スタイリング全体に強い思い入れがあれば、ゲストに全身を見てもらえるように新郎新婦はテーブルを使わずソファ席にする。司会者にはドレス選びのポイントを伝えて、そのエピソードをゲストに紹介してもらう。こうしてドレスを基に会場や装飾当日の空気感作りに落とし込んでいき、ふたりならではの世界観を作ることもプランナーの役目ではないでしょうか。「ドレスはドレスショップにお任せ」で終わらせてしまうのではなく、さらに素敵なウエディングにするには何ができるかを考える。それもまたプランナーの醍醐味だと思います。
<今回のポイント>
Case Study
[Good Case]
[Bad Case]
有賀 明美(Akemi Ariga)
1977年生まれ。フェリス女学院大学卒業後、(株)テイクアンドギヴ・ニーズに入社。「結婚式にサプライズ」という新しい概念を作り出した「オリジナルウェディング」の先駆者で業界のカリスマ的存在。これまで数多くの芸能人、著名人を含む 1000組以上の国内外のウエディングを監修・担当。業界外でも秋元康氏やおちまさと氏とのコラボレーションによる商品開発にも携わる。2014年に自身も結婚し、出産を経験。少子化や未婚率の上昇、晩婚化の現状を受け、「結婚」そのものや「夫婦・家族」の在り方についての啓発活動もスタート。幅広い分野に活躍の場を広げている。
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